そういう意味では大学に行って良かった

大学生時代に影響を受けた「にっかつロマンポルノ」のことは、以前のブログでも書きました。当時、自分は大学の映画研究会に入っていまして、ヨーロッパの映画にのめり込み始めていました。邦画は話題作くらいしか見ませんでした。

あるとき八王子にっかつという映画館から、新作を撮った監督さんの劇場挨拶に映研の会員が呼ばれたことがありました。せっかく監督をお呼びしても劇場が閑散としていたらまずいということもあるのでしょう。そのための人員だったのかもしれません。

監督は神代辰巳さんでした。にっかつで名作を撮り続けている方で「神様、仏様、神代様」と敬愛する先輩もいましたが、自分はあまり観ていませんでした。その頃の神代作品で「赤い髪の女」という傑作があります。その年の賞を賑わせたこの作品を観てショックを受けます。ロマンポルノを軽んじていました。

赤い髪の女

食事もセックスも同列で、活きること、つまり男と女(人間)を描いているのです。映画、そして性(タブー)に対する価値観が変わりました。それからです、ロマンポルノを積極的に見始めるのは。年代的には、根岸吉太郎監督と池田敏春監督(「天使のはらわた 赤い淫画」他)が好きでした。根岸監督(「暴行儀式」「狂った果実」他)は若手のホープで、にっかつ以降は角川映画など数々の名品(「探偵物語」「雪に願うこと」他)を現在も撮られている方です。池田監督は弟子入りを考えた方でした。AV監督になる数年前のことです。

天使のはらわた 赤い淫画

にっかつロマンポルノの再上映される機会が増えているようです。機会がございましたらご覧になることをお薦めいたします。

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この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。