猫vol.2

前にTVを見てたら派手なアロハを着た谷啓が出ていた。歳はおいくつになるのだろう。でもとても似合っていた。お年をめしても派手な物が似合う方と似合わない方がいる。同じクレージーキャッツでもハナ肇は派手な服は合わないけど、植木等はとても似合う。

家猫を思いだした。何を着せても似合う猫と似合わない猫がいる。前にも書いたが、もう死んじゃったどちらも20歳!の爺さん猫の一匹(わかめちゃん)はどんな柄の服でも首輪でも似合った。が、もう一匹の黒猫(クック)は何を着せても不思議と似合わないのだ。

クックがブスな訳ではない。なんか変なのだ。その差は何なんだろう。人間ならまだしも、猫でもあか抜けてるということがあるのか。

誰にでも可愛がれる猫がいる。以前事務所で飼っていたチャチャという猫である。人懐っこく物怖じしないオス猫。「お早うございます」と入室しながら早くもチャチャを探すスタッフ、よその猫がチャチャのベッド(といっても単なる座布団)をとったと目を三角にして怒った平野勝之監督。ウチで制作する作品にもよく出演してもらった。(もちろんペットしてですよ。)みんなに愛されていた。

事務所の引っ越しで猫を飼う事ができなくなり、実家に引き取ってもらうことになった。大勢の人間が出入りする事務所から、爺さん婆さん二人が住む家に。事務所ではみんなが帰宅して一人になってしまう毎日。毎朝、事務所のドアの前で待ちかねたように鳴くチャチャの声が外から聞こえていた。

実家は常に誰かいるからチャチャにとっては落ち着いた生活だった。父が病気で寝込むと一番の友人になったチャチャ。父の枕元でよく毛繕いをしていた。親父の辞世の言葉が「ねこは(どこにいるの)?」だった。おじいちゃんになったチャチャもいまだ健在。先日、チャチャは最後になるだろう引っ越しをした。実家の引っ越しだった。(続く)

この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。