もし医者だったら

健康診断に行った。医療制度が変わったようで、同じ市内ならどこの病院でも受診できるようになった。

人間ドックでは評判の大きな病院。若くて可愛い看護士がたくさんいる。たくさんのお客さんを案内する女性ホステスはみな綺麗。「ここって病院なんだよな、サロンみたい。なんかAVのネタがたくさん転がっていそうだな」なんて思ってしまう。でもなぜ病院や歯医者にはあんなに若くて美人の看護士がたくさんいるのだろう。金のある所には女が集まるということなのか、医者の趣味なのか。あるいは男の患者を呼び込むためなのか。

話が逸れた。そんな病院で想像してみる。もし自分がこの病院の医者だったら・・・
次から次に来る患者のことをどこまで考えるんだろう。
自分は医者としての目標をどこに置くんだろう。
自分はこの病院でやっていけるのだろうか。

その夜、たまたまNHKの番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」を観た。福井県の田舎の村の診療所で働く地域医療の医師(中村医師・40代半ば)の話だった。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090113/index.html
17年前の大学の研修先が、たまたまその村だった。元々は外科で腕を磨く目標をもっていた医師は、なにもなくて愕然としたらしい。赴任して3年間は、外科として腕を磨く夢を引きずっていた。ところが、ある一言がきっかけとなり、その村で医者として生き抜くことを決めた。

NHKホームページより
『赴任して3年目のある夜、中村は、ひたすら自分を責めていた。くも膜下出血を見抜けなかったのだ。長距離運転をした後、酒を飲み、肩が痛いと訴えていた患者。前兆が非典型例だったため、見抜くのは簡単ではなかったが、見逃したのは事実。近くの総合病院に救急搬送した後、家族の車に乗せられて村に帰る道すがら、中村はひたすらわびた。責任をとって医師を辞めようとさえ思った。その時、言われた言葉だ。

「誰にでもある、お互い様だ」

寄り添い、助け合って生きる暮らしが残る村。だからこそ人々に備わる心の広さ。中村はそれを実感すると同時に、自分は、地域の人に見守られ、育てようとされていることを実感したという。まもなく、中村は村と結婚することを決めた』

自分が医者だったら、外科医として同じ目標を持つかもしれない。しかし「誰にでもある、お互い様だ」と言われて、村と結婚することが出来るのか?

今朝の健康診断の病院医師だったら、多くの若い女の子と出会いが待っている。その時の医者としての目標はなんだろう。人間ドックは安定している仕事だが、それ以外に目標は持てるのか。なにを目標に自分は生きているんだろう・・・
中村医師を観たら、医者の自分はどう思うのだろうか。
いろいろ考えてしまったのでした。

第106回 中村伸一(2009年1月13日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
  • 掲載画像はリニューアル時に編集者が追加

この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。