妻からTV番組の話を聞いた。NHKの番組らしい。
都会に出稼ぎに出てきたお父さんが遠く離れた田舎の家に帰るまでの中国人のドキュメント。
わずかなお土産を持ってバスを何台も乗り換えて帰る。降りた停留場はなにもない所。道のない砂漠の中を歩いて行きます。あまりになにもないので、間違えて歩いてるのでは?と思ったそうです。
ひたすら歩いて行くと、向こうに山が見えてきました。その山肌に穴があり、「お父さん、帰ったよ!」と声をかけると子供と妻が出てきたのです!家族が住んでいたのは家ではなく穴倉だったのです。電気や水道なんか通っていません。北京オリンピックはどこまで知っているのでしょうか。一年ぶりの家族団欒にみんな嬉しそうです。お父さんが空き箱で作ってくれるオモチャ。幼い子供はお父さんを尊敬の眼差しで見ています。
都会の誘惑に負けず、家族のために働きづめのお父さん。何十時間もかけて家族が待つもとに帰る。帰巣本能というか、その繋がりの強さ。妻と子供は自給自足をしているのでしょう。夫が帰るのを信じて待ち続けるひたむきさ。その光景を想像するだけで涙が出てきた。
中国のいなかにはこのような人たちはまだかなりいます。チャン・イーモウ監督の映画「初恋のきた道」にも田舎の生活が描かれています。NHKドキュメントのような壮絶な出稼ぎのお話ではありませんが。ただNHKの番組にしてもチャン・イーモウの映画にしても、どちらも「辺鄙な田舎でひたすら待ち続ける」「田舎に一途に帰る」というのが一致しています。中国の田舎の家族を語るには「ひたすら・一途」という強い気持ちが欠かせないようです。
高倉健さんが、この映画を観てあまりの感動で夜眠ることができなかったそうですが、とてもよくわかります。自分も感動しました。機会がありましたら是非ご覧になって下さい。

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