ファミレスで

自宅からちょっと離れたところにあるファミレスに一人入った。午前中でお客さんはそんなにいない。隣には30代の夫婦が座っていた。ウエイトレスは忙しく立ち働いている。実は食事のために入ったのではない。ここで働く女の子が目当てだった。

若いときからナンパはまったくダメだった。人生初のナンパは高校生のとき。悪友と二人ダメ元で次から次へと声をかけたが、立ち止まりもされなかった。以降、一度も成功した試しはなく、ナンパは苦手な行為となった。

おそらく母からの躾だったような気がする。女の子と軽々しく仲良くすることがいけないような感覚が今でもある。なんのためにそんな躾をされたのかよくわからない。また映画を観に行くのも今でも罪悪感がある。「映画なんか観てないで勉強しなさい」と言われていたから、いつもこっそり観に行っていた。

自分には子供はいないが、もしいたら好きなことをさせたい。親のいう通りにはならないのだから、好きなことを理解してあげたい。罪悪感でその子の人生を狂わせたくない。

話しがそれてしまった。ファミレスの女の子だ。そこで働く女の子をスカウトしようと来たのだった。ナンパはできないがスカウトはなぜかできるのだ。(スカウトとしての行動ができるという意味です。)仕事という言い訳があるからだと思う。話す機会を探ったが、忙しそうで無理だった。唯一、会計のタイミングしかなかった。

会計の時にゆっくり話もしていられないから名刺の裏にメッセージを書いて渡せばいいやと名刺をとりだし書き出した時、隣のカップルの女性が急にソワソワとし始めた。隣の女性に僕の行動はすべてお見通しで、その名刺を誰に渡すのかが興味津々のようだった。ウエイトレスをジロジロ見ているつもりはなかったのだが、女性にはわかるのですね。五感というのか分からないが、凄いと思った。単に自分が怪しかったのかもしれないが・・・

名刺を渡すと後日メールが来た。「会社を検索したらAV会社でした」
その後、彼女との連絡は途絶えてしまった。

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この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。