諸行無常

諸行無常という言葉で最近考えたのは「宇宙企画」です。

わたしがAVにデビューするきっかけになったのは20数年前、宇宙企画(当時ハミングという会社だった)に就職した「さいとうまこと監督」からのバイトの誘いだった。さいとうさんは大学の映画研究会の先輩(現在でも仲良くさせていただいています)で、エロビデオの制作会社ハミングに就職したのでした。(当時まだAVという名称はなかった)

大学卒業後、エロビデオ制作会社に就職したのですが、ハミングは宇宙企画というレーベル名で美少女を次々発掘していきます。作品の方法論は「美少女単体」。ソフトでもいい、とにかく素材として女の子の可愛さで勝負する。映像としてのクオリティと女の子の質の高さは当時のAV業界でも群を抜いていました。

わたしはAVの制作会社をやりながら、宇宙企画は永遠に続くんだろうなと思っていました。それはなんの根拠もなく、ただある意味AVの正統派といえるものという確信に似たものでしかなかったのですが。

年は過ぎ、会社は買収され社員も入れ替わり宇宙企画はまったく別物になっていきます。エロビデオメーカーの変遷・没落なんて、よく考えれば当たり前のことなんですが、当時は「永遠」なんて感じてしまうほど正しいコンセプトの商品を出しているメーカーだったのです。

今後さらに諸行無常を感じることは多くなっていくことでしょう。
いろいろな別れ方をしていきます。つらい別れ、泥沼のような別れ方。
その中で、いかに別れが惜しい人・生涯付き合っていける人を見つけられるかが重要なんじゃないでしょうか。
今回はちょっと人生論ぽくなってしまった。恐縮です。

この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。