猫嫌いの猫

先日、自宅のメス猫が亡くなりました。20歳くらいでした。はっきり年齢を知らないのは拾われた猫をもらったからです。その猫と知りあった経緯は過去のブログを読んでください。
http://akiratakatsuki.blog.2nt.com/blog-entry-55.html

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人間には甘えるのに、とにかく猫嫌いの猫でした。特に同性のメス猫を敵対視していた。オス猫にもあまりなつかなかったが、メス猫となると猫パンチや噛み付いたりする。一度、病弱なメスの子猫を殴り殺したことがありました。ひどい猫だなとさすがに思いました。人間にも、同性の女性を嫌うタイプの女がいますが、メスは扱いづらいのかもしれません。だからという訳ではないのでしょうが、その猫は僕のことが大好きでした。お父さん子でした。

また手間のかかる猫でした。エサを欲しがるので、あげても食べなかったり、甘えて付きまとったり、内臓が悪いのかしょっちゅう吐いてました。血便が出て、じょじょに痩せてきたのは一年ほど前からです。女房は世話をしながらも、子猫を殺した前科もあったので、「早く死にな」と毎日こぼしていました。あまりに「死ね死ね」言うので文句を言うと、「今までたくさんの猫を飼ってきたけど、こんな面倒な猫はじめて」と言います。多くの中から自分が選んで引き取った猫なのに。「猫は甘えたいだけなんだよ」と言っても、嫌なものはいやみたいです。

死ぬ一週間前くらいから、なにも食べなくなりました。日毎に痩せてガリガリになります。いつもは僕の布団にくるのに、最後の夜は女房と一緒に寝ていました。朝、猫はいなくなっていました。動物の死は荘厳な気持ちにさせてくれます。ジタバタすることなく、いつもひっそりと死にます。猫は部屋の隅で死んでいました。安らかな顔でした。

それからしばらく、女房は喪失感で元気がありませんでした。「死後一週間は霊が家の中にいる」と今も猫の名を呼んでいます。

この記事を書いた人

A.T.のアバター A.T. 監督・プロデューサー

たかつき あきら 1982年中央大学文学部卒
宇宙企画の制作、ピンク映画の監督等を経て、制作会社4D(フォーディー)に入社し風俗情報AV等を制作。その後、共同経営でカンノン・シネマワークスを立ち上げリアルなエロを引き出す淫乱系ドキュメント派監督として知られる様になる。共同経営者が病気で倒れたため、シネマユニット・ガス(通称GAS)を設立。セルビデオ転換期に「爆乳」を主軸とした作品群をリリースし、爆乳系監督の第一人者となる。