「愛しのAVギャル」
9月23・29・10月1日
バズーカ
三人の監督(私、カンパニー松尾、平野勝之)によるオムニバス。それぞれの監督が愛しいAVギャルを撮る、という企画。
彼が最近一番お気に入りのAVギャル・吉本加奈子(21)。プライベートでも付き合っているそうである。手をブリッコ風にせわしなく動かして落ちつきのない娘で、初バイトがAVという世間知らずの女子大生。
私はその撮影にお手伝いに行った。企画は彼が別の女の子(「Tバックヒッチハイカー」の高橋あゆみ)とSEXしてる所を加奈子に見せてしまうという彼女には試練になるもの。何も知らない加奈子を連れていくのが私の役目。彼の予想通り加奈子の反応は怒りもせず、逆に「ごめんなさい。仕事中に入ってしまって松尾さんに悪いことをした」だって。女としての自分に自信がないから素直に怒れないらしい。
試練はこれだけではなかった。スタッフと絡めという指令。カン松は高橋と絡みを続け(加奈子が入ってきたら彼のチンポは萎えてしまった)、加奈子はスタッフとそれぞれやる。高橋は萎えてしまったカン松に女としてのプライドを傷つけられたと落ち込むし、好きな男の前で別の男とやらなければならず、プライベートと仕事がグチャグチャになった加奈子。そして仕事とはいえ、そういう設定にしてしまうカン松のAV監督としての性。ドンヨリとした雰囲気の中でSEXが進められる。そういう非日常的な雰囲気がいい。和気あいあいとAVを撮るのもいいが、たまにはAVの非日常性もいいものだ。
ようやくスタッフも帰り、幸せな時間を過ごす二人。翌朝、カン松は甘えるばかりの彼女に「俺は君の親鳥」とちょっと突き放す。彼女はそんなこと考えたこともなかったのでしょう。子供だった自分を初めて顧みることになった加奈子のほろ苦い恋の終わりを感じさせながら終わる。
さすがカンパニー松尾という感じです。恋心みたいなもの(そこまで重厚ではないかもしれないが)をその場の思いつきを交えながら撮ってしまうのですから。ある意味、映画を越えています。
実はこの企画は舞田奈美ちゃんを撮りたくて出した企画だったのですが、プロダクションの問題がいろいろあって、撮れなくなってしまいました。それじゃ仕方ないということで、愛しいという気持ちはないのですが、もう10本近く撮っているみずしまちはるに感謝する気持ちで撮ろうと出演をお願いしました。
久しぶりに会った彼女は朝から機嫌が悪かった。実は前日にメイクと衣裳の件で私と電話で延々と揉めたのである。揉めるなんてことは初めてだった。今までのちはるとは明らかに違っていた。聞くと「今までAVの仕事は風俗の知名度を上げる為に利用させてもらってたけど、現在は肩の力が抜けたので言いたいことが言えるようになった」だって。それは許せるが、問題は私へのクレームだ。「高槻さんの現場は暗い」だと。余計なお世話だ(笑)。じゃあ自分で明るくすればいいじゃないか。俺の現場は暗いというので汚名返上でスタッフみんなで絡むことにする。ちゃんとコミュニケーションをとって高槻組もいいとこあるじゃない、と言わせてやろう。ちはるが俺を男と見れないのを知ってるから、わざとの嫌がらせなんだけど(笑)。案の定さっきまでの言いたい放題の余裕はなく、緊張しまくっている。その落差が面白かった。
今回初めて彼女の本音を聞いた。AVには常に違和感が付きまとっていたらしい。風俗嬢という意識が強く、客を「癒す」のでも「抜くため」でもない、「演技」「表現」という女優意識がなかったという。TVに出演した時もわざと頭が悪そうなふりをしていたんだって。その方が楽だから。でも彼女には素直に感謝をしたい。嘘をつくことなく俺を信じてついてきてくれたんだから。今までどうもありがとう。これからも仕事頑張ってください。
平野勝之
「わくわく不倫旅行」で日本の最北端を自転車で目指した平野監督と林由美香。本編はそのエピローグとなる。今回も自転車で「一泊二日の旅」。内容は今の時点ではよく分からない。
この作品は三者三様で見応えがあります。私のコーナーはちっとも「愛し」くないのが笑えると思いますが。乞うご期待!