「素人真性マゾヒスト 

北国から来た愛奴」

1/27 (シネマジックノアール)


ある投稿雑誌の編集の方から紹介された素人の女の子。素人なのに芸名があるという。札幌に住んでいて藤谷ゆうこというと投稿の世界では有名らしい。自分のホームページもあって、そこではSMのプレイの写真とかを無料で公開したり、プレイ相手を募集したりしているらしい。会えないので電話で打ち合わせする。印象は素人というより確信犯的SMマニアで、やりたいことがはっきりしている。スケジュールも自分が東京に行く日に合わせてくれと。あまり日にちがない。それからあわててメーカー(シネマジック)に仕事の営業に行く。自分が納得のいくSMビデオを作りたく、相手の調教師とも撮影前に会っておきたいという。確かに相性は大切なのは分かるが予定の調教師に面接の件を言葉を選びながら伝える。「なんで俺が面接されなきゃいけないんだ」と怒る人もいるかもしれないので。なんか素人に振り回されてる感じ。人のいい自分を呪う(他の監督だったらまずここまで付き合わないでしょう)が、不思議とイヤな感じはしなかった。常にSMに対して真剣な彼女に可愛げがあったから。「SMは自分にとってとても大切なもの」「本当はもうSMを辞めたい。これでもう満足というSMをやってから辞めたい」彼女の言葉にはオリジナリティを感じた。そもそも私はオリジナリティがあってウソのつかないヤツが好きである。ウチの社員監督の平野勝之しかりである。ただオリジナリティがあるヤツは純粋でひたむきなパワーがあるから付き合うのに疲れる。藤谷もそういうタイプ。面接で調教師OKが出てとりあずホッとする。


撮影は彼女に主導権を持たせ、希望のストーリーにする。まずは外で調教師に拉致されるシーン。いきなり髪をつかまれた途端に目がイク(笑)。

スタジオで続きを撮ってる時に私が気を使ってかけた言葉で醒めてしまい彼女に怒られる。「なんでいいところなのに声をかけるの」 だって彼女の彼氏(ご主人様)から「ゆうこがイヤがったら撮影を切り上げて帰って来させます」なんて言われりゃ、ちょっとしたことでも心配するでしょ。相手がプロダクションだったらそんなこと一切言わせないのだが、こっちの事情を知らない素人だからホント困る。

体中にラップを巻く窒息プレイを撮影中に彼女が全然ノレないと言い出す。調教師のミラ狂美さん(♂)マッ青。たぶんミラさんがお仕事的にしてるのが彼女に伝染したんでしょう、ということで両者納得。「じゃあ、本気(マジ)でやります」と数十分後、ミラさんはお化粧してコスプレしてきた(笑)。これでミラさんの目つきは変わったらしく、彼女も入り込んでくれる。

最後はウンコ。浣腸して脱糞するのだが、彼女は慣れていてウンコを自分の指でほじくって出してました。栓として入れたウインナーを食べてみたり、ウンコをこねくり回してみたり、おしまいは顔や体中にウンコを塗りたくって、ミラさんにオシッコをかけて流してもらう。泥遊びの子供と一緒。

ウンコは彼女にとってはサービス。「ウンコの人に見られちゃう」と心配してました。


結局彼女がSMを辞められるような満足な内容にはなりませんでした。(これからというところで終わっちゃったから) 最近よく思いますが、私はSMにホント興味がない。自分の興味がかろうじて続いてるのは(昔からそう指摘されていたけど)SMにではなく、それが好きなマニア(人間)に対してである。SMも面白いとは思う。そもそも自分の中にもS心・M心があるから。ただ本格的になってくると誰もが一家言持つようになるでしょ。「SMとは・・」「高槻さんのSM観は・・」 それがイヤ。どーだっていいじゃねーか、と思う。彼らにすれば監督は何を考えてるの?ということになってしまう。この両者のズレは私のSMビデオには必ず生じるものだけど、藤谷とのそれは苦痛ではなかった。それは彼女の性格の良さとか、一途さとかの印象がいいからに他ならない。彼女がどう思ったかは分からないが、私は楽しかった。いいヤツです、彼女は。


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