豹ちゃんのこと
(96/03/14)
今回は一人の女の子のことを書きたいと思います。彼女の名前は「豹」。AVをするに当たって自分で名づけたそうです。彼女は3才の時の高熱が原因でそれから聴覚障害と言語障害になってしまいました。現在でも彼女は聞いたり、話したりすることが上手く出来ません。
彼女と初めて会ったのは某風俗店でした。どうしてもビデオをやりたかったそうで、最初面接した時は言葉が話せないので外人なのかと思ったくらいです。彼女とは筆談で話をしたんですが、その内容にまたびっくり。初体験がなんと6歳!で、その後小学校の時に自分の妹と弟を犯した!というのです。彼女の筆談によれば「それがお父さんに見つかり、オシリをピシャリ!」なんて明るく言い放つのです。私がどうしても撮りたいという気持ちになったのは、黒人の話になったときでした。
彼氏は黒人以外考えられないというのですが、その理由は「黒人はずっと差別
されてきているけど、私も同じく障害者として差別されてきました。根っこにある物が一緒なので疲れない」というのです。
いつも私が撮っている女の子は金銭目的のアーパー女たちです。(基本的にはいいやつばかりなんだけど)ブランド物が欲しいから、有名になりたいから、亭主には満足しているけどなんか物足りなくて、、、という人たちがほとんどです。豹ちゃんみたいに差別意識を持っている女なんていませんでした。(単に気がつかなかっただけなのかもしれませんが) 問題意識を持っているのが素晴らしいというのではなく、そんな話になるとは思ってもいなかったので、作品にしたらきっと凄い物が出来るのではないかという監督としての職業的な感が働いたのだと思います。
私が撮った豹ちゃんのビデオは今回で2本目(彼女のAVは全部で3本)。撮影の詳しい内容等は撮影日記を読んでいただくとして、なぜこんなコーナーをわざわざ作ったのかというと、障害者の女の子のAVを作れるという日本のAVの大きな特殊性の一つを特に海外の人に知ってもらいたくて書きました。
もちろん日本にもビデ倫という国による審査機関はあります。前回、彼女の一本目の審査では「下手すると審査拒否に合うかも・・・」とこわごわ審査を受けましたが、彼女の持つ天性の明るさが審査員には好印象だったようで、なんの問題もなく審査をパスしました。この時はさすがに、撮りたい物が撮れて「AV監督になって良かった」と思ったくらいです。
日本のAVの特殊性はその作品作りにあります。海外のポルノはきれいな女性がたくさん出てきてその「豪華さ」を見せてくれてたり、マニアっぽくあっさりと(そしてたっぷりと)見せてくれていますが、日本の作品はSEXに至る描写
が長かったり(情緒を大切にする)、SEX以外の所で面白く見せようという映画に似た「一つの作品性」があります。
日本でAVが大きな盛り上がりを見せているのは、映画で好きな物が撮れない監督達が撮りたい物を撮れるという唯一のメディアとしての「自由さ」が一つにあるからだと思います。
これは制作者側の話だけど、女の子の側も豹ちゃんみたいな障害者が応募してくる時代になったんだという感慨みたいなものがありました。今は面白ければどんな女の子でも撮ることが出来るのが日本のAVなんです。(もちろんそのための気力は必要ですが)
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